2021.10.05
地域が選ばれる場所になるために
甲斐康雄(67歳)

棚田キャンプを行う高千穂町の大平(おおひら)地区で自治会長をされている甲斐康雄さん(以下、康雄さん)。ここ数年で大平集落では地域活動が活発化しています。今回はその立役者である康雄さんについてご紹介したいと思います。「棚田 キャンプをやりたい!」と言った時も背中を押してくださった康夫さんが大平地区で行っている事、これからやりたい事などをお聞きしました。

早期退職して観光業をスタート。

「高千穂は昔から観光地だ。その観光でもっと高千穂を盛り上げたい」その思いを胸に、康雄さんは、50歳のときに観光業の免許を取得し独立起業されました。今まではJAに勤めて農産物販売の仕事などをされていた康雄さん。起業後は、更に高千穂の農産物を販売するために遠方へ生産者を連れて行ったり、自社でツアーを企画して遠方の観光地への旅行を手配したり、さまざまな企画を展開していきました。企画したツアーで他の観光地に行った際は、「高千穂でも真似できることはないか」と観光地の隅々にまで目を光らせ業務に従事していたそうです。

高千穂町の大平地区

康雄さんが生活する大平地区は、高千穂町の中心部から車で5分ほどの場所にあります。日本棚田100選に選ばれた「尾戸の口の棚田」に囲まれる集落で、ブランド牛の高千穂牛を飼育する生産者が多く農業が盛んな集落です。中には和牛のオリンピックと言われる全国和牛能力共進会に出場し、優秀な成績を納めた豪農もいらっしゃいます。そして、集落を眺めると旧TR高千穂鉄道の高千穂鉄橋が谷を渡っており、生産者が作り出す棚田の景色と共に観光客の方を楽しませている場所でもあります。

そんな大平地区で生活して、地域のためにできる事を考えて行動してきた康雄さん。しかし、この10年で集落に住む人の数も徐々に減ってきており、「限界集落が消滅集落になってしまう…」と危機感を抱いていました。しかし、そんな康雄さんにチャンスが訪れます。今から2年前に自治会長の任が回ってきたのです。

座右の銘は「とりあえず、なんでもやってみる」

「自治会長になったからには、とことんやってやるぞ!」

そう意気込んだ康雄さんは、早速、活動母体として「大平地区村おこし協議会」を立ち上げました。そして、座右の銘の「とりあえずなんでもやってみよう」の精神で、町内の人に大平地区の本当の素晴らしさを知ってもらおうと、晩秋の紅葉がきれいな時期に集落の裏手にある大平山に登る「大平ウォーク」を開催しました。募集後、30人の定員がすぐに埋まり、参加された方も大変満足でされていたようです。

次に、外の人に大平地区を知ってもらおうと集落と馴染みが深い高千穂牛のキャラクターが書かれた看板を作りました。狙いは、一風代わった看板を見るために、この集落を訪れて、立ち止まって、見てもらうこと。集落の通り沿いに10枚ほどある看板は、方言で書かれたコメントが入っており、康雄さんの狙いとおりに立ち止まって見る観光客も増えているそうです。

そんな康雄さんの行動は数字にも現れていて、地元を鎮守する石神神社のお賽銭が段々増えており、地元神社の氏子の皆さんも喜んでいるそうです。1年目は集落の人からも「なにをやっているのだろうか」と不思議がられていた康雄さんですが、2年目の今年は「俺も一緒にやらせてくれ」という声が多くなってきて、康雄さん自身も集落が動き出した実感を噛み締めています。

これからの地域づくりに必要なこと

康雄さんは、これからの地域づくりで大事なことは、「選ばれる地域になること」と話します。日本全国同じように美しい景色、美味しい食べ物、優しい地元の人たちがいる中で、高千穂でないとだめ、この大平地区でないとだめなことを継続して仕掛けていく必要があると話します。10年間の観光業でも、ツアーの中に行程として組み込まれるためにはそこに行く理由がとても大事で、地域づくりや、場所づくりでもこの「選ばれる事」がとても大事とのこと。継続は力なり。康雄さんは宮崎市内で開催されるフルマラソンの大会に毎年参加し完走されており、言葉にはとても説得力がありました。

棚田キャンプについて

棚田キャンプでは、いろんな人にこの集落や高千穂町にきて楽しんでほしいと話します。棚田キャンプでは、集落の中の人と話す機会も多くある事でしょう。集落のみなさんも棚田キャンプを楽しみにしているので、ぜひ話かけてみてください。きっと、観光地としての高千穂以外の楽しみ方が待っているはずです。

棚田キャンプのお申込み

棚田キャンプのお申込みはGoogleフォームから

※お申し込み前に、こちらをご確認ください。